特許取得まで3年というのは、ちょっと長すぎるのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。
特許取得までは、通常は、審査開始から約1年になります。
今回は、特許庁と取得について争ったため、3年近くかかりました。
専門的な話になりますが、通常は、特許庁の「審査」を経て特許の取得になります。
今回はその審査の結果にお客さまも私自身も納得ができなかったため、特許庁に対して「審判」請求(不服を申し立てること)をしました。
裁判の場合は、まず地方裁判所で裁判がなされ、その判決に納得できないと、次に高等裁判所で争います。
今回の審判請求もこのような流れを経たため、3年近くかかってしまいました。
今回、特許庁と争った技術は、お客さまの会社にとって非常に重要な技術で、お客さまもこの特許を取得したいという強い意向をお持ちでした。
私自身も、審査で言われている内容に全く納得ができませんでした。
ちなみに、審査段階では1人の「審査官」が行いますが、審判請求をすると、3人の「審判官」の合議体によって再審査されます。
審判段階では、審査官よりさらに専門的な、審判官3人の判断になるため、より厳しく審査されます。
今回の審判では、審査段階で反論した内容に加えて、審判段階で新たに出された「特許を許可しない」という多くの証拠に対しても、さらに反論しなければなりませんでした。
それもあって、反論は正直大変でした。
今回、無事に特許取得となりましたが、何よりも嬉しかったのは、お客さまが欲しいと希望されていた内容とほぼ同じ内容で特許を取得できたことです。
専門的に言えば、出願当初の請求項1の記載をほぼそのままの形で特許取得できたこと。
一般的には、審判段階を経ると、審判官から、特許の権利内容の減縮(権利内容を狭くすること)を求められるのですが、今回はそのようなことをすることもなく、特許を取得できて本当に良かったと思っています。
このお客さまは、私が講師を務めた特許のセミナーに参加していただき、その後、特許をご依頼いただいた経緯もあり、ほんとうに嬉しい体験でした。
また、「審判請求をすれば特許を取得できる可能性もある」と、私からお客さまに勧めたのもあって、正直ほっとしています。
特許を取得するにはこのように結構エキサイティングな面もあるので、この仕事はやめられません(笑)。
今後も、このようにしっかりと特許取得のサポートをしていきたいと思います。